読書メモ
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「折れた竜骨」米澤穂信(東京創元社ミステリフロンティア)

『そしてそれはお前にも分かるはず。いや、お前にこそ、わかってもらわねばならない。ニコラ、何も見落としてはいけない。そして考えろ。お前には素質がある。真実を見つめる勇気がある。理性と倫理は魔術をも打ち破る。それを証明するんだ。そして、時が来たなら迷わず義務を果たせ』


自然の要塞に囲まれたソロン島。その領主が殺された。鉄壁の守りはなぜ破られたのか。犯人は誰なのか。容疑者は8人。娘のアミーナは騎士ファルクとその従者ニコラとともに、犯人をさがす。という話。

たいへん面白うございました。大満足です。優れたミステリを読むと、やっぱりわたしはミステリが大好きだなぁ、と思いますね。

剣と魔法のファンタジーと良質のミステリが絡み合って、謎解きの楽しを味わうには一級品です。そして小説としても面白い。
ハウダニットよりもフーダニットに重きが置かれていて、早々に殺害手段は明かされます。では誰がやったのか。容疑者一人一人に話を聞くこのやりとりがとても面白かった。

読者への挑戦が挿入されててもおかしくないほどミステリの王道たる形式を踏襲しながら、しかしその調理法は新しく、なんともわくわくさせられました。
感情的に読めば犯人は直感的に変わると思います。でもそこに至るまでの周到に用意された伏線がたいへん美しいです。

それから主人公のアミーナが魅力的。聡明かつ冷静で、しかも自らの責務に自覚的です。凛とした姿勢に好感が持てます。もういっそ、兄アダムより彼女が領主になったほうがソロン島のためだよ。
襲来したデーン人との戦いで、領主の娘として危険を避けつつ、しかし戦闘から目を離さない彼女の冷静さには感服するものがありました。

面白かったです。

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)
(2010/11/27)
米澤 穂信

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「追想五断章」米澤穂信(集英社)
古書店アルバイトの芳光は、ある日、父の書いた小説を探して欲しいという依頼を受ける。報酬に惹かれて始めた短編探しだが、探し当てた短編に触れ、その描かれた事情を知るうちに、芳光は次第に自らの境遇をつよく意識させられることになる。5つのリドル・ストーリーと22年前の事件の関係が明らかになるにつれ、芳光は一つの決断を得る   

米澤穂信らしい小説でした。雰囲気は「ボトルネック」や「さよなら妖精」に近いです。「古典部」や「小市民」シリーズが好きな方にはオススメしませんが、前者が好きな人にはオススメです。わたしはたいへん面白く読みました。

たぶん、わたしが最初に読んだリドル・ストーリーは、北村薫の「朝霧」の中じゃないかと思います。んで、この結末を描かない物語形式は、たいてい、悲劇で終わるように読み取るのが正解っぽく書かれているという印象を持ってしまっているのですが、偏見でしょうか。悲劇じゃないほうが好きだけどなぁ。

しかし米澤氏はほんとうに小説が上手いですね。入れ子になった話が見せる物語の別の側面と、その見せ方がほんとうに上手い。描かれなかった最後の一行をどう捉えるか、それが事件の真相を浮き彫りにするさまが実に見事だと思いました。

これからもこの作家さんの新刊は追いかけていこうと思いました。


追想五断章追想五断章
(2009/08)
米澤 穂信

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「秋期限定栗きんとん事件 上・下」米澤穂信(創元推理文庫)
待ちに待った小市民シリーズ第3弾。
木良市で起きている連続放火事件の犯人は?
当て馬・瓜野高彦くんの運命は?
そして小鳩くんと小山内さんの互恵関係はどう変わるのか?
この続きを読む
『犬はどこだ』米澤穂信(東京創元社ミステリ・フロンティア)
たいへん面白く読みました。
謎の失踪を遂げた女性を探すっつーのは探偵小説には多々あるシチュエーションですが、失踪の理由には新しさを感じました。いや、ありがちといえばありがちか……? しかしそもそもの発端は、これまでの小説には見られなかったものですね。
驚くとともに、いたく納得しました。これならば、周りの人には失踪の理由がわからないってのが肯けます。

しかし。ネタバレになるからあまり書きたくないけど、このラストは……。なんというか、好みが分かれる結末で、どっちかというとわたしの好みでは。
いや、ラストがつまらないというわけではないのです。むしろ素晴らしい。この話の持っていきかたは非常に好みです。なんというか、わたし好みのラストでないところが、かえってわたし好みなのです。メンタリティが違う日に読んでいれば、最高傑作! と思ったかもしれない。それくらい良いラストなのです。

感情論から言うと、そりゃないだろーって思うんですけどねー。
読み終わった後に改めてタイトルを読むと、「うーん?」という感じ。そこにいたるまでの過程はたいそう面白かったのになぁ。
捜査の過程とか不慮の事態とか棚からぼた餅とか意外な協力者とか。少しずつ小出しにされる情報は実に見事。
好み云々を抜きにすれば、かなり面白い小説として分類して差し支えないと思います。

表紙にしれっと『紺屋サーチ&レスキューの事件簿1』とあるので、シリーズとしての今後の展開が非常に楽しみです。
『クドリャフカの順番―「十文字」事件』米澤穂信(角川書店)
えっと。わたしが読み違えてる可能性もあるのですが、「クイズ研」は……? くじゃないのかな? あれ? というのが第一の感想。
誰かわたしに納得のいく説明をください。それがネックなせいで、微妙に評価がし辛いのです。

だけど、それに目を瞑れば、他は文句なし。最高です。いいなぁ。面白いなぁ。すごいなぁ。といったありがちの感想しか出てこないくらい面白い。
わらしべプロトコルの展開にはなんだか嬉しくなってしまうし(しかも役に立った!)、ふくちゃんの自嘲シーンは若さゆえのほろ苦さを十分に体現していて素晴らしいし、毎回変わる麻耶花の衣装はニヤリさせられるし、奉太郎が千反田に逆らえない理由を自覚してないのも非常に楽しい。

読んでいると、高校時代をもう一度やり直したくなります。こんな仲間がいたら、さぞ充実した高校生活を送れるだろうなぁ。

  

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