読書メモ
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「イデアマスター」若木未生(バーズノベルズ)
ラノベってファーストフードだよなぁ。
すぐ出てきて簡単に消費できるし。
作ってる人も、その手軽さを心がけてる人は多いと思う。
綿密な取材や、自分の深淵をのぞき込んでそれを暴き出すような覚悟をもってラノベを書いてる人はたぶんあまりいないんじゃないかな。

簡単に消費される商品に、それでもプロ意識と誇りを持って挑むことは、まあ素晴らしいと思いますが。
けど、マクドナルドのアルバイトに身を削るようなプロ意識を持ってハンバーガーを作ってます、とか言われても引くかも知れない……。

文学が優れているとか、高級料亭だけが立派とか言うわけではないけど。手軽に消費できる小説を、手軽な故に愛しているんですが。


しかしそれを是としない作家もいますね。
もともとコバルト文庫という少女小説から出していたシリーズの、完結編がこのノベルズです。新書。
大昔のコバルトは多少文学的な薫りもなくはなかったんですが、今はラノベの少女レーベルの一つにすぎないわけで。少女小説の先駆けとなったのがが多分コバルトで、創刊当時にコバルトが何を目指していたかは知りませんが、今のコバルトは大量消費されるかるーい物語ばかりです。

そんなレーベルでは続きを書くことが出来なかったこの作品は、6年も読者を待たせていて、もうそれだけでラノベ失格です。
スピードが命のラノベ界で、6年も待つ読者なんか。


この小説は音楽を描いています。
バンド物、とカテゴリ分けすることも出来ますが、音楽です。
高校生の主人公、朱音はアマチュアバンドでキーボードをやっていたのに、そのバンドをクビになった日、プロになることが決まったバンドのドラムをやらないか、と誘われます。
ロック界の天才・藤谷に見いだされた朱音はドラムの才能を開花させ、プロとしての道を進んでいく--

というあらすじを書きながら、なんか違和感がぬぐえない。
こんな話だったっけ。
大筋は間違ってないけど、違う。バンドのファンとのもめ事や、恋愛、ライバルとの競争とか、様々な出来事が物語を彩っているけど、違う。
この小説は音楽です。音楽を描いています。


待ってました。ものすごく待ってました。
新刊が出てすごく嬉しくて、手に取れてわくわくして、読んでる最中ずっと幸せで、読み終わって静かな満足感がわたしを満たしています。

この本を出せなかったコバルトは了見が狭いし、このシリーズに見向きもしなかったコバルト読者は視野が狭い。
ぶっちゃけ売れなかった、と作者は書いてますが、たしかにこれはコバルトの読者向きじゃないと思います。レーベルが求める作品を提供できない作者の力量にも問題があるのかもしれない。でもわたしはこの作品をコバルトの読者にこそ読んで欲しい作品だと思うのですが。出版社が変わったことが、少しだけ悲しいです。

最終巻。なんだか駆け足のように描かれているのが少し悲しい。もっとじっくり読ませて欲しかった。
もっともっとゆっくりこの物語の世界を味わっていたかったです。
ハンバーガーの最後の一口を大事に取っておきたかった。

でも冷めたら美味しくないよね。

この後、バーズノベルズから既刊が発行し直されるそうです。
未読の方は、ぜひこの音楽に身を浸して頂きたい。

イデアマスター―GLASS HEART (バーズノベルス)イデアマスター―GLASS HEART (バーズノベルス)
(2009/02)
若木 未生

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