読書メモ
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「イルカと泳ぎ、イルカを食べる」川端裕人(ちくま文庫)
プロフィール欄に「好きな作家:川端裕人」とか書いてる割に、氏の本のエントリを書いたことがないことに今気付いたので更新。

ちなみに、川端氏は元日本テレビの社員で、ネイチャー系のノンフィクションだけでなく小説も数多く発表しています。わたしは氏の小説もノンフィクションもどっちも好きです。


で。本書。
1997年に「イルカとぼくらの微妙な関係」というタイトルで出版された本の文庫化。
文庫版のための長い後書きで、昨今話題の「ザ・コーヴ」についても少し触れています。
たぶん、「ザ・コーヴ」が話題にならなかったら文庫化されなかっただろうと思います。

著者はイルカが好きで、イルカと一緒に泳ぐために各地を回ったり、一方でイルカ漁を生業とする地域の人々にインタビューし、一緒にイルカを食べたりしています。
この二つの行為が矛盾しないところが日本の文化の良い所だよなぁと、わたしなんかは思うのですが。
イルカ保護を熱心に訴える団体の多い国では、きっと考えられないことなんでしょうね。
著者はイルカ保護にも熱心ですが、イルカ漁を完全否定することもしていません。
中庸といえば聞こえはいいですが、どっちつかずとか結論がないと感じる人もいるかもしれません。でも多くの日本人にとっては、それが当たり前の感覚なのではないでしょうか。
結論を急ぐような議論ではないし、そもそも結論があるのか。

イルカを取り巻く人々の思惑や、人から様々な欲(癒されたいとか、保護したいとか、お金儲けに使いたいとか)をぶつけられるイルカと言う動物の特殊な状態を淡々と綴っているのが本書です。
「ザ・コーヴ」に疑問を持つ人も賛同する人も、読めば何らかの発見があると思います。


わたし自身は、イルカを食べるのも、牛や豚を食べるのも同列だと感じます。
ついでに言えば犬だろうがカンガルーだろうがパンダだろうが、それを食べる文化を否定する気はサラサラありませんし、普通に料理として出されたら食べると思います。絶滅の危機に瀕している種を食べるのは良くないことだとは思いますが。

かといって「クジラはいいけどイルカは駄目」とか「家畜は良いけど犬は駄目」とか言ってる人を否定する気もないですよ。そういう人に無理やりイルカ肉や犬肉を食べさせようとか思いませんし。個人個人の感覚を尊重したいです。どんな動物を尊いと感じるかなんて、人に押し付けることじゃないと思います。
「××を食べるなんてかわいそう」と言うんじゃなくて、「わたしは可哀相だと思うから食べないけれど、食べる人を否定はしない」というスタンスが、自然だと思うんですがね……。


さて。
クジラ漁もイルカ漁も(イルカはクジラ目だから同じ「捕鯨」ですが)、海外から執拗に反対されたり、国内外の自然保護団体から圧力やら妨害やらを受けていますが、反対の理由でわたしが納得できるのは2つだけです。絶滅危惧と、水銀汚染。
それ以外の反対はなんつーか、突っ込みどころありすぎて逆に笑えます。

魚じゃなくて哺乳類だから駄目とか。
かわいいからとか、人を癒してくれるからとか、残酷だからとか、頭がいいからとか。
主観に基づく感情論が多いのがどうにも。

魚はいいのか、とか。哺乳類って言うなら、牛豚はどうなんだ。家畜じゃなくても、猪や羊、兎、熊、鹿なんかは普通にどこの国でも食べられてるし。中国にはレッサーパンダを食べる地域がありますし、オーストラリアではカンガルーを食べる地域もあります。さらに言うなら、イルカやシャチを食べる地域もあります。(つまりオーストラリアでも全員が捕鯨に反対しているわけではない、ということでしょうけれど)

かわいいも癒しも主観でしかないし、残酷っていうなら生き物を食べるのは全て残酷だし、「頭が良い」にいたっては的外れもいいところだし。(野生動物の知能に優劣をつけるというのが間抜けな行為な上、そもそもイルカやクジラが突出して知能が高いなんて科学的事実はありません。イルカより豚のほうが知能が高いって言ってる研究者もいます)


なんか本書の感想からどんどん逸れてきましたが、要は、絶滅の心配のない種を絶滅させない範囲で捕ることはなんら問題ない、ということを主張したかっただけです。
他国が文句言うな!


因みに。
わたしもイルカは好きですし、見てると癒されるなぁとも思いますよ。
そして、自然目線の自然保護団体には賛同します。人間目線の保護団体はちょっとどうかと思いますし、自然目線でもテロ集団には賛同できませんが。


現在「日経ウーマン オンライン」「川端裕人の“かわいい”だけじゃすまないイルカの話」というコラムが連載中なので、興味を持った人は、本書を読む前に読んでみると良いかもしれません。


イルカと泳ぎ、イルカを食べる (ちくま文庫)イルカと泳ぎ、イルカを食べる (ちくま文庫)
(2010/08/09)
川端 裕人

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